Q-8
60代も半ば。病気をしてから、以前のような張りのある声が出せなくなりました。
良い方法がありますか?(64歳・男性)
A-8
大腰筋と仲良くなることから始めましょう。歩こう!
以前より考えていたのですが、ボイストレーニングって、その世代世代やおひとりおひとりの身体の状態に合わせて行うことが重要だと思います。
変声期前後の子どものためのボイストレーニング。
病後の方のための、ボイストレーニング。
高齢者のための、ボイストレーニング。
女性も、加齢と共に声が低くなって、やがて男性と同じ音域になりますしね。
ただ、闇雲に「大きな声を出せ」というのでは、なかなか身に付かないし、続かない。
なんとか、年齢を重ねても、楽しんで続けられるボイストレーニングを編み出したいと考えています。
自分自身のためにも!
ところで、ご相談者の場合も、ご病気などで体力も落ちていらっしゃると思いますが如何でしょうか。
この頃、軽い運動は続けていらっしゃいますか?
そこで、今回は発声のためのワンポイント集中トレーニング。
テーマは、筋力です。
声を出すのは、身体全体の筋肉が、連動して働いていることが大事。
でも、加齢と共に、筋力が落ちると、声も出にくくなってしまいます。
若い頃と同じようにというのは、残念ながら、難しいかもしれません。
でも、ちゃんと筋力が備わっていれば、高音をキープしたまま低音が広がるので声の幅が出来る。
包容力のある声になれるんです。
そこで、どの筋力を意識するか。
それは、インナーマッスル。
大腰筋(だいようきん)。
身体の深い部分にある筋肉で、大腰筋は、腰から骨盤の中を通って、股関節をつないでいる大きくて太い筋肉です(水色の部分)。
大腰筋がしっかりしていると、高齢になっても伸びのある声が出せる人が多いですし、若い人でも声に力がない人は、大腰筋が頼りない場合が多いんです。
どうやって鍛えるかというと、ウォーキング。
歩くことが一番。
そして、日舞や仕舞などに使われる「すり足」。
これは、かなり大腰筋が鍛えられます。
能楽師や歌舞伎の役方は、高齢でも、しっかりと声が出せますものね。
もちろん、日頃の鍛錬の成果でもあるのですが、この大腰筋がしっかりしているというのが、声のためには必要なんです。
つまり、足腰を鍛えるということ。
でも、無理をしてはいけませんよ。
ゆっくりと歩いて、足の付け根のところにある大腰筋を意識してください。
階段の上り下りも、ゆっくりと筋肉を意識しながら行って下さいね。
そして声を出すときも、この大腰筋を意識する。
股関節を少しゆるめて、しっかり足全体で身体を支えて、上半身は軽くして声を出す。
これが基本です。
声を出すって、身体全体を使った運動です。
プールで泳ぐ時や、運動をするときは必ず準備運動が必要でしょう。
声を出す場合も同じ。
ストレッチをして、準備運動をして、全身の柔軟性を高めて、そして声を出して下さいね。
年齢に関わらず、柔軟性が高まり、筋肉がある程度自由になれば、発声は楽になるはずです。
声育ては、いくつから初めてもOK!
どうぞ、楽しんでお続け下さいね。
濱田真実
ありがとうございました。 ゆるゆると練習してみます。 こちらこそありがとうございます。 ご無理のないよう、楽しんでくださいね。(浜田真実) |